009■■ さくら道
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国道156号線を郡上八幡から北に向けて走ると白鳥という町がある。
ここは佐藤良二さんが住んでいた町だ。
かつて名古屋駅から金沢まで走る日本一の長距離バス路線があり、旧国鉄名金急行線と言った。
その車掌だった佐藤良二さんは太平洋と日本海をつなごうと、250kmにも及ぶバス路線沿いに桜を植え続けた。
今、この道はさくら道と呼ばれている。

岐阜から富山にかけての山間部を走るこの道は、庄川に吸い込まれそうなくらい深く恐ろしい所も多い。
そこで、この路線は156号線にかけてイチコロ線と呼ばれ、その名の通り谷に落ちたらイチコロと恐れられた、そんな所だ。
その路線沿いに御母衣(みぼろ)ダムの建設で水没する村にあった二本の桜の巨木が移植され、見事に花を咲かせたことに感銘し生涯をかけてこの荘川桜の子孫を育て植え続けた。
今白鳥町で来月八日まで、「夢を託した桜―佐藤良二特別写真展」が開かれている。
桜前線の北上を追いかけるのも楽しいが、一人の男が命を懸けて次代に受け継いだ 「桜」 を見に出かけるのもおつではないか...。

by finches | 2009-04-21 22:14 | 記憶


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