弥生小学校校舎の保存の声を無視して、新しい弥生小学校校舎の基本設計は終わった。 そして今日と明日、わざわざPTAとその他住民を分けて、この基本設計図面の説明会が開かれる。 初日の今日はPTAを対象にした説明会で、それまでにこの基本設計図面に何が書かれているのか、設計者は何を考えどのように設計の中で古い良きものを壊してまでつくり変えるに値する説得力ある解決を示しているのか、小南武一の設計した現校舎と比較して設計そのものの質の高さはどうなのか、等々を 「函館・弥生小学校の保存を考える」 に書いて伝えたいと図面を何度も見直している。 筆者が言う設計者とは建築家とは全く異なる。 建築家とはつくろうとする建築だけでなく、その行為を通して社会全体を見ることができる人間だけに与えられるものだからだ。また建築家とは日常の中で己の利益を求めることより、常に社会公共の利益を優先して考えている人間でなければならない。 弥生小学校新校舎を設計した設計者は、建築をどこでどのように学んで来たのかは知らない。 だが、クライアントに媚び、迎合し、利益を追い求め、社会公共への真摯な奉仕と係わりに得たものを還すことをしてこなかった人物であろうと、繰り返し図面を見る中で思った。 弥生小学校新校舎の設計に臨むならば、その歴史的背景を勉強し、現弥生小学校校舎が持つ建築の本質を掴もうと努力し、自分の設計者としての技量を謙虚に省み、死に物狂いで臨まなければ今以上の建築にすることは到底出来ないと、どうして考えられないのだろうと思った。 函館市教育委員会はひど過ぎる。だが、本当に良いものをつくろうとする意思があれば、入札で設計者を決めた都市建設課もひどい。たとえ行政がどれ程ひどくても、良心と誇りを持った設計者ならば、これらに立ち向ったと思う。 だが、この基本設計図面からは設計者の良心はどこからも読み取れない...。 [追記] 函館・弥生小学校の保存を考える に基本設計についての所見を掲載しました。
by finches
| 2009-06-09 06:52
| 信条
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