111■■ 小島小学校 ・其一
111■■ 小島小学校 ・其一_b0125465_1716191.jpg東京市復興小学校DATA

[小島小学校]
創立年月 明治41年6月
竣工年月 昭和3年8月27日
工事請負 藤本清次郎
校地坪数 949.14坪
校舎坪数 1,157.047坪
学級規模 20学級


東京市復興小公園DATA

[小島公園]
開園年月 昭和5年11月
公園面積 847.33坪




浅草区の復興小学校だった小島小学校は、現在の台東区小島二丁目に残っている。
既に廃校になっているが、今でも活用されている建物の一つだ。
写真はこの小学校に併設された復興小公園から撮影したものだが、当時は勿論両者の境界は管理上必要な程度の柵だけが設けられ、連続して使えるように考えられていた。

ここで帝都復興事業の一つとして計画された復興小公園について触れておこう。
復興小公園は罹災区域の小学校に隣接して52箇所が設けられたが、運動場の延長であると共に市民のための休養公園でもあり、非常時の防火と避難場所としての役割も合わせ持っていた。
復興局としては、理想的には復興小学校117校全てに配置したかったようだが、実際計画されたのはその半数に過ぎなかった。
その設置に当たっては、児童数、小学校敷地の広狭さ、既設公園の配置などを考慮した上で各区の配分量が決められ、止むを得ない場合を除き互いが5~600メートルの距離になるように配置されている。

筆者が学生時代、欧米と東京の都市公園を比較して、後者の狭小さと都市計画性の欠如を指摘する教授らがいたが、元々、両者では都市づくりの基本から異なる上に、この復興小公園のように震災からの復興を背景に、欧米の公園事情に近づける努力がなされていたことを、どこまで知って話していたのだろうと今は思える。

小島小学校の外観の特徴として、運動場に面した南西の角にある丸い塔状の部分がある。
この部分は各階では半円形のトイレが納まっているが、屋上に出ると完全な円形で屋根だけがかかる物見塔のようになっている。
この部分がとてもユニークなことで、この小学校の建築を楽しいものにし、公園側から見た時の親しみを倍加させている。

この建物の玄関庇にはTaito Designers Villageと書かれている。
創造的活動を行っている企業が入居したコミュニティであろうと想像される。
だが、筆者には強い違和感が残った。
それは、彼らはこの建物の魅力をどれだけ感じているのか、この建物が好きなのか、ここでの活動が楽しいのか、という疑問から来るものだった。
かつての運動場は殺風景な駐車場に変わり、公園との境には高い柵が取り付けられ、建物の中と外を連続的に使おうとする創意工夫の跡さえない。

Taito Designers Villageの名のごとく、筆者たちが外から見ても羨ましくなるような、そんな輝きを発して欲しいと強く思った...。

by finches | 2009-08-06 07:04 | 復興


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