126■■ 源森川 枕橋 ・其一
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北十間川が隅田川に出合う辺りに枕橋はある。
元々は源森橋という名前で、現兵衛橋と呼ばれたりもしたが、川の北岸にあった水戸藩下屋敷の堀割に架けられた新小梅橋と並んでいたことから、親しみを持って呼ばれた枕橋という呼び名がいつしか正式な名前となった。
源森橋は枕橋の隣りに架けられた名もない橋にその名を譲るが、関東大震災後に架けられた鋼鉄製のアーチ橋は現在新しい橋に架け替えられ、枕橋のひっそりとした佇まいとは違って、賑やかに車が行き交う三ツ目通りの橋になっている。

現在枕橋の辺りは東武鉄道の高架や首都高速が走り、隅田川との境には源森川水門が設けられて、かつての面影はこの橋を措いて窺い知ることはできない。
水戸藩下屋敷跡は三つの復興大公園の一つ隅田公園として整備され、かつてこの橋の袂には隅田公園駅という東武鉄道の駅もあった。
更に遡ると、ちょうど写真の高架下辺りに水戸藩下屋敷御船蔵を改装した八百松という料亭があった。
かつてここからは隅田川越しに浅草寺や五重塔が眺められ、隅田川と源森川の風情が楽しめることから大いに賑わった。

隅田公園駅が廃止された昭和33年当時は、上の写真のユニークな燈具は見られないが、いつ頃かあたかも最初からあったような燈具が付けられている。
無駄な箱物の典型、豪華な高層墨田区役所が隣接するお陰で、昭和3年に完成したこの小さな橋も何とか周知され生き延びている、その皮肉さを感じない訳でなないが...。

by finches | 2009-08-28 08:29 | 復興


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