133■■ Forth Bridge ・2
133■■ Forth Bridge ・2_b0125465_16305649.jpg[Photograph source]
Scotland's Firth of Forth
Pictures of Mr. Bill Hoffman
http://www.pre-engineering.com/resources/forth/forthbridge.htm




前回、マメンチサウルス(Mamenchisaurus)の体の構造を使ってカンティレバー(cantilever)について説明したが、より具体的にこの橋のカンティレバーの原理を説明した実験がある。
写真の上半分は実際この橋の工事中のもので、正に両側からカンティレバーが伸びてきて先端が結合されようとしている。
写真の下半分は実際に3人の人間の体を使って、カンティレバーの原理を実験しているものだ。

左右の椅子に座った人間がこの橋の主脚部分(マメンチサウルスの体に当たる)を、中央側に広げた腕と棒が一方のカンティレバー部分(マメンチサウルスの首に当たる)を、そして外側に広げた腕と棒がもう一方のカンティレバー部分(マメンチサウルスの尻尾に当たる)を表していると考えればいい。
この一人の人間と広げた両腕と棒がつくる六角形は、マメンチサウルスの体の上に赤く描いた力線の形と同じで、片側にも全く同じものが左右対称に置かれていると考えればいい。

マメンチサウルスは草食獣なので実際には起こり得ないが、二頭のマメンチサウルスが一頭の動物を左右から同時にくわえた状態、その動物が写真中央に座って浮いている人間だと考えればいい。
これは長く伸びたカンティレバーの先端に加重が加わった状態を表し、何もしなければこの人間を支えることはできない。
しかし、良く見ると外側に広げた両腕と棒の先は紐を介してレンガの錘に繋がっているのが分かる。
正にこれはクレーン車で説明したアームとは反対側に載せられた錘と同じで、回転を止めると同時に中央部に加わった負荷(人間の体重)を両端に流し、その反力(レンガによる重力)で相殺している。

実際には腕も棒も紐に当たる部材も、またこれらの間に入れられた斜めのトラス材も、全ての部材に引張力か圧縮力が働いている。
そして、この実験はそこまで表していて、もっと説明すれば楽しくなるのだが、今日のところは割愛する。

ガウディ(Antoni Gaudí 1852-1926)が設計したバルセロナのサグラダ・ファミリア教会(El Temple Expiatori de la Sagrada Família 聖家族贖罪教会)の地下には、彼が教会堂の構造解析のために実際に使った逆懸垂実験の模型が残されている。
もしこのForth Bridgeが吊り橋だったら、上の実験は懸垂実験に代わっていたかも知れないと思った...。

by finches | 2009-09-04 06:37 | 空間


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