175■■ 龍閑川
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右の建物は登録有形文化財になっている丸石ビルヂングで、完成は昭和6年(1931)となる。(設計者:山下寿郎)
このビルの裏側(南側)にはかつて龍閑川が流れていて、建物の西側には大正14年(1925)に完成した今川橋という復興橋梁が架かっていた。
この橋の長さは11mで、その長さが物語るように龍閑川の川幅は狭く、引潮になると水深がなくなったそうだ。

また、このビルの近くには昭和4年(1929)に完成した今川小学校という復興小学校があった。
今川小学校はこれまでに紹介した復興小学校と同じく鉄筋コンクリート造の当時モダンな建物だったが、その2年後に完成した丸石ビルヂングにはシカゴ派のオフィス建築の影響が見られ、1階を石貼とした上で開口部にはアーチが用いられ、また柱頭などには動植物のレリーフが多用されている。また、2階以上はスクラッチタイル貼とした上で、途中には胴蛇腹を設けるなど、古典的な様式とは異なる一つの時代のスタイルを反映したものとなっている。

このビルには龍閑川跡を歩いていて偶然に出合ったが、前回取り上げた善照寺の時と同じように、もう直ぐ日も暮れようかという時、こんな建物に出合えると何だかホッとした気持ちにさせられるものだ。
また、道ではなく川から見ているように想像しながら歩いていると、目の前の景色の見え方や焦点の先への期待も違ったものになるから不思議だ...。

by finches | 2009-10-20 06:23 | 空間


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