鎌倉橋の暗い過去を取り上げて199回目を締めたが、本稿は200回目にあたりこの明るい写真で行こうと予てより決めていた。 久し振りに隅田川の橋に戻って来たが、この駒形橋は昭和2年(1927)に架橋された震災復興橋梁で、中央径間部がソリッドリブタイドアーチ橋、両側径間部がソリッドアーチ橋という形式で造られている。 そして、中央径間部が下路式、両側径間部が上路式というところが、この橋をユニークで楽しいものにしている。 さて、この橋名の由来はかつてこの橋の西詰にあった馬頭観音菩薩を祀った駒形堂に因んでいる。この橋の一つ下流には厩橋があるが、二本続けて馬に関係する名前がついているのも偶然とは言えなかなか興味深いところだ。 隅田川の橋のデザインが全て異なっているということは拙稿でも既に触れたが、下流側から蔵前橋、厩橋、駒形橋、吾妻橋の四つの橋はデザインこそ異なるが、全てアーチを基本モチーフとしており、その中で如何に各々の個性を表現するかにさぞ苦労したことであろう思う。 現在、隅田川に架かる橋は全て色を変えられていて、その中の一つ清洲橋も濃い青色に塗装されているが、その色に塗られる前はこの駒形橋と同じ明るい空色に塗装されていた。全部の橋がこの色に統一されたらまた問題だが、赤い吾妻橋、緑の厩橋、黄の蔵前橋の中にあって、この駒形橋の明るい空色は川面を流れる風のように実に清々しく感じる。 (筆者は厩橋の緑色は橋のデザインと調和していると感じている) そして、駒形橋は筆者垂涎の灯具が実に美しい。 橋梁、灯具、橋詰のデザインが一切手を抜くことなく行われていた時代、それらを見ることができる好例がここにはある...。
by finches
| 2009-11-15 07:11
| 復興
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