拙稿では震災復興橋梁と合わせてその橋特有の灯具も取り上げてきた。橋本体や橋詰に見られる外灯もユニークなものが残っているが、特に橋名プレートが取り付けられる親柱には、その橋のデザインと一つになったユニークで美しい灯具が見られる。 残念ながらかつて灯具があった痕跡だけの橋や、陽が落ちても灯りの点らない橋や、全く新しいものに変えられている橋がほとんどだが。 白鬚橋は浅草と向島を結ぶ吾妻橋の一つ上流に昭和6年(1931)に架けられた橋梁で、南千住と墨田を結んでいる。(現在はその間に桜橋という歩行者専用橋(クロスバー橋)が昭和60年に架設されている) この白鬚橋の上流には千住大橋が架かり、吾妻橋、白鬚橋、千住大橋は形式こそ違うがアーチ橋であることで共通しているが、そこにある灯具には全く共通性は見られない。吾妻橋は明らかに他の二橋とデザインの思想が違うし、白鬚橋と千住大橋では橋と灯具が同じ思想の下にデザインされているように思われる。 ただこれらの形がどこから導き出されたものなのか、これ程個性ある独特な形をしながら筆者が知る限り類似の灯具を見たことがない。 かつて白鬚橋の上流左岸には日活向島撮影所(近代映画スタジオ発祥の地)があり、更にその上流には鐘淵紡績工場があった。また、下流左岸には東大と一橋大艇庫があったが、この当たりにこの橋の灯具のデザインソースがあったのではないかと苦し紛れに考えてしまった...。
by finches
| 2009-11-16 06:33
| 復興
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