192■■ 四谷第五小学校
192■■ 四谷第五小学校_b0125465_1014328.jpg

四谷第五小学校は復興小学校に続いて建設された改築小学校の一つとして昭和9年(1934)に完成している。そして、そのタイプはインターナショナルスタイルに属する。

写真は玄関部分を撮ったものだが、ここにもこの小学校のインターナショナルスタイルの特徴が幾つか見られる。
例えば一層部分の大きくカーブする曲面、二層三層部分の横長に取られた窓、三層右端部分の現在のカーテンウォールを思わせるような窓の取り方などが挙げられる。また、この写真の裏側に位置する北西の角に飛び出した階段室は、半円形の全面ガラスの窓が下から上まで連続するモダンなデザインで、その横の壁面に規則正しく開けられた四角い窓との対比が、当時はさぞ美しかったであろうと想像される。
(現在は見るも無残な状態で、このモダンな曲面窓も塀の向こうに微かにその上部を覗かせている)

この小学校(廃校)はちょうど新宿の花園神社の真裏にあり、創建当時はこの辺りの環境も今とは大分違っていたことだろう。
戦後、新宿駅東口にあった闇市の尾津組マーケットが露天商整理でこの花園神社裏に移転し、飲み屋が密集する現在の新宿ゴールデン街の元をつくる。また、昭和23年(1958)に売春禁止法が施行されるまでは、青線と言われる非合法売春地帯でもあった。

そんな環境の中にあって、このモダンな小学校は輝き続け、多くの子供たちを送り出してきたのだろう。
廃校後は新宿区役所の分館として無残に扱われ、現在はその歴史すら知らないであろう某芸能会社の東京本部として使われているが、ゴールデン街が今も人々に愛され現役であり続けているように、この小学校も戦前・戦後の生き証人として大事にされ、使い続けて欲しいと思わずにはいられない...。

by finches | 2009-11-07 06:44 | 復興


<< 193■■ 江戸川小学校 191■■ 四谷第四小学校 >>