前稿で取り上げた江戸川小学校は神田川の直ぐ南の平地に建っているが、その反対側つまり神田川の北側には台地状の地形が続いている。 それはこの辺りが武蔵野台地の東縁部であることを示しており、文京区には関口台、小日向台、小石川台、白山台、本郷台の五つ台地があり、現在は暗渠となっているが千川がつくった低地や谷が入り組み、それらが多くの坂のある景観をつくり出している。 そんな小高い台地に小日向台町小学校が建てられたのは、東京市の鉄筋コンクリート造小学校の建設が終了する昭和13年(1938)のことだった。 そして、その新校舎はインターナショナルスタイルでつくられ、2階にベランダを持ち、階段踊場が丸く突き出たモダンな姿をしていた。 いくつかの小学校で階段踊場を丸く強調するかのようなデザインが見られるが、この小学校のそれはどこか他とは異なる意図の下になされたのではないかと勝手に想像した。それは校歌にも歌われている、学校のシンボルといて親しまれていた椎の大木と西に望めた富士を見せるためのものではなかったかと。 その椎の大木も戦災で焼け落ち、現在ではその三代目が大きく生い茂っている。 校庭越しにそれらを見ていると、この椎の木と同じくこの校舎もこれまでと変わることなく、使い続けて欲しいと願わずにおれなかった...。
by finches
| 2009-11-09 07:08
| 復興
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