206■■ 常盤小学校 ・其二
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前稿で「ときわ」の名を持つ三つの橋に触れたが、その中の新常盤橋の西側直ぐに、江戸通りに面して常盤小学校は建っている。
常盤小学校は昭和4年(1929)に完成した復興小学校で、細部のデザインにはアール・デコの影響が如実に見られ、柱型が表に現れるの避けた壁面に少し彫りの深いアーチ窓や四角い窓がつくり出す造形は、どこか古いイタリア建築を彷彿とさせる趣きさえある。

今、筆者は明治30年の地図を横に広げていて、それには日本銀行の表記があるだけだが、この常磐小学校の歴史は古く、その創立は明治6年(1873)にまで遡る。
また、先の新常盤橋の北側直ぐには、別稿で取り上げた外掘通りを跨ぐ外堀通鉄橋がある。 
この鋼製の鉄道橋の建設年は不明だが、それが繋がるレンガ造の連続鉄道橋は明治42年(1909)の新橋・上野間の高架電車の運転開始に合わせて建設されたもので、見事なレンガアーチを今でも見ることができる。

このような歴史環境に常磐小学校は包まれている。
写真は常磐小学校の講堂兼屋内体操場だが、筆者がこれまで見た中では最も凝った造りをしている。
全体としてデザインはアール・デコで統一され、写真の扉は元より演台にまでそのデザインは及んでいる。
幸いこの小学校の保存は確定しているが、とかく「歴史的建造物=保存」という型に嵌った見方をされる傾向があるが、少し見方を変えて、持続的使用が可能な現役の建築であり、むしろ現代建築より堅牢であり、デザインも上質で優れ、教育環境としても新しい校舎の追随が不可能な程の高みにあることを、父兄や同窓会や町内会や教育者や行政は、もっともっと理解する努力をして欲しいものだ...。


068■■ 常盤小学校 ・其一
by finches | 2009-11-21 07:12 | 復興


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