210■■ 新月島有情
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新月島は明治29年(1896)に完成した明治時代最後(月島地区に於ける最後)の埋立地で、月島とは新月島運河で隔てられている。
この写真が新月島を表すのに相応しいものかは分からないが、今まで歩く先々で遠くに見えてその存在は知っていたが、この度の月島散策がなければ決して近づくことはなかったであろう高層マンションまで来てしまったことによる。

かつて、パリのデファンス地区に円筒型の高層住宅が出現したことがある。その壁面にはまるで空と雲のような模様が描かれ、直ぐにその異様な建築群はパリのスカイラインを破壊し景観を損なうとの批判を受け、その後1970年代に見直しをされたことがある。
新月島の高層マンションは筒型でこそないが、遠望するその姿はかつての空と雲のような模様が描かれた高層住宅、正にそのもののように筆者には見えていた。

間近で見ると模様に見えたものは、材料の違いによって生み出されていたことが分かり、その一つひとつは筆者の好みではないにしろ、それなりにしっかり考えられていることが見て取れた。特に住宅を高層化することで生まれた公開空地は、それなりに新月島運河や朝潮運河へと気持ち良く抜けて、ウォーターフロントを意識した一つの都市型住居の好例を示すものに仕上がっていた。

写真はその公開空地へと繋がる通路だが、無闇にガラスを使いたがるレベルの低い建築とは一線を画す周到なディテールとデザインが心地良かった。(雨樋のデザインが残念)
そんな訳でこの高層住宅の一角での取り組みを新月島事情として取り上げてみた...。

by finches | 2009-11-25 06:56 | 時間


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