晴海運河と東雲運河に挟まれた新豊洲、その未だ荒涼とした埋立地に、ポツンと巨大な円形の建物があることに気付いたのは今から6年前のことだった。 車でレインボーブリッジを渡る度に左に見えるその建物が一体何なのか、気になってしようがなかった。 ある日、筆者の興味は頂点に達し、何キロも離れた駅からただ目視を頼りに、途中幾つかの運河に行く手を阻まれながらその建物に近づいたことが懐かしい。 その建物は本当に荒涼とした中にポツンとあって、立入禁止の標識が幾重にも続く道を何だか不気味な気持ちで歩いてやっとその前に辿り着いた。(不気味なのは人間の姿がないことだった) 人間がいない、それが一体何なのかが全く分からない、何でこんな円形の現代建築が埋立地のド真中にあるのかに至っては皆目分からない、そんな出合いだった。(ただ一度だけ建物に一列になって吸い込まれて行く、男女を問わず黒服の不気味な一群があった) その建物を見る機会が到来した。 その建物は1階から地下4階までが50万ボルト変電所という世界初の地下式変電所だった。 そして、この地下で50万ボルトの電圧は27万ボルトと6万ボルトに下げられ、また地下トンネルを通って送り出されている。 変電所内部の写真撮影は一切禁止だったが、写真はその円形の中心にある三角形のロビーに吸い込まれる、黒服に身を固めた人の群れだ。 6年来のこの建物への疑問は解けた、だが、ここに訪れる人間はあの時と同じ黒い服に身を固めていた...。
by finches
| 2009-11-26 06:42
| 無題
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