拙稿、蕪と馬鈴薯につづく七輪編を箸休めに使うことにした。 干物は既に焼き上がる寸前で七輪の中では備長炭がめらめらとゆっくり燃えて最後の仕上げに忙しい。 自分が作った干物を炭火で焼く、焼き上がる頃合を見計らって白いご飯と味噌汁が食卓に並べられ、阿吽の呼吸で焼き上がった干物の皿をそこに置く。 そして、粗にして豊かな和の朝餉をゆっくりと堪能する。 炭は普通の黒炭と備長炭を用意してあるが、大抵は火持ちが良く燃える様が美しい備長炭の方を使うことが多い。 今は然程苦労せずに手に入れることができる備長炭も、15年くらい前は車で走り回って古くからの燃料屋を探したものだ。 備長炭をお風呂に入れたり、冷蔵庫の水の中に入れたりした時期もあった。そう言えば、まだ車のシートの下には消臭用の備長炭が何本か袋に入れて置いてある。 干物は塩と太陽と風が作る芸術品だと思う。 新鮮な魚を選び、それを手早く捌き、塩をするまでは自分の出番だが、それを干して水分を飛ばし程よい味にするのは自然の力を借りる以外に方法はない。 いざ干そうとしたら天気が悪くなったり、湿度のある曇天などはもうどうしようもなく、そうなったらもう諦めるしかない。 そうかと言って日差しが強いだけではこれまた駄目で、風の役割が干物の出来の良し悪しを決定する。 だが、全ての条件が整っていても人間がそれらの変化を見ながら、竹笊の上に綺麗に並べられた魚の位置を変えたり、ひっくり返してやらなければ良い干物にはならない。 そして、その干物を最上の味に仕上げてくれるのが炭火だ。 この炭火で焼いた干物の美味さに勝るものはない...。
by finches
| 2009-12-15 07:08
| 嗜好
|
タグ
essay(1007)
昭和(243) かたち(185) 震災復興小学校(96) 箸休め(71) 震災復興橋梁(57) 橋(45) 大正(43) 近代モダン小学校(39) 函館(27) 江戸(24) essay bibliophobia annex(24) 明治(14) essay bibliophobia nuclear(6) 未分類(2) essay bibliophobia annexⅱ(1) 検索
カテゴリ
時間空間 記憶 季節 復興 嗜好 信条 地理 遺産 持続 無題 復興小学校 近代モダン小学校 フォロー中のブログ
Ever Greennaruhodo (茶房... ezzoforte 関根要太郎研究室@はこだて 函館 ・ 弥生小学校の保... I shall be r... リンク
虚数の森
菜滋記 透明タペストリー Clocks & Clouds 以前の記事
2017年 01月2015年 02月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 その他のジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||