227■■ 函館大三坂
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二時間前まで晴れていた空を雲が蔽い、まだ三時前というのにまるで暮れ急いでいるかのような函館だった。
まだ雪のない大三坂はナナカマドが全ての葉を落とし、いつもの年なら小鳥たちのためにどの木にも赤い実が残っているのだが、今年はカトリック教会の前の一本を除きどの木にも赤い実が残されていないことを不思議に思った。

市電の電停の数にして6つ分を歩いてここまで来たが、函館を訪れるたびにどこかで何かがその風景の中から消えている焦燥を感じる。
そんな中、とうとう大三坂のナナカマドの真っ赤な実まで消えてしまったのかと、不思議を通り越して何だか不吉なものを予感した。

今年、函館のシンボルであった函館ドックのゴライアスクレーンが保存の声を他所に解体され姿を消した。
同じく、今正に保存運動の最中にある弥生小学校も解体が強行され現在も続いている。
また一方で、二十間坂から八幡坂にかけての東本願寺別院前の道路整備工事が進められていた。
この道はかつての函館の郷愁を感じられる道で、そこに暮らす人々がその長い暮らしの中で自然とそして暗黙の了解の中で育んできた小さな花壇などが目に優しい道でもあった。

しかし、その道は舗石にやり変えられ、その上不要な歩道までが新たに付け加えられ、それによって道と家々の間にあった緩衝帯としての空間は花壇とともに消滅する運命に瀕している。
その、歩道が家々の壁の際にまで切迫する様子を見て、この街は歴史的財産である建造物を壊し続けるだけでなく、町並みやそこに連綿と続いてきた暮らしまでをも破壊し、それを何とも思わない人間たちによって全てが執り行われているのだと思った。

坂の上にあるギャラリーでアメリカには市役所を置かない街があるという話を聞いた。
この街の市民が行政に代わって何かが変わるかは分からないが、少なくとも今と未来の函館にとって、函館市役所という組織と幹部職員が不要であることだけは痛感した...。

by finches | 2009-12-12 08:23 | 無題


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