■■ 文京区立元町小学校
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元町小学校は昭和2年(1927)に完成した復興小学校となる。
校庭の南側には元町公園という復興小公園が隣接し、その公園の南側は崖になっていて本郷台地を貫くように神田川がその谷底を流れている。
かつてこの直ぐ近くには、井ノ頭池から小石川を経て神田・日本橋に給水していた神田上水の懸樋が神田川に架かっていた。 

元町小学校を訪れる為には、この元町公園の階段を上がってアプローチする方法があるが、このルートを選ぶとヨーロッパ庭園の様式を取り入れた元町公園を十二分に楽しむことができる。そして高低差を巧みに利用した西洋式公園の最後の階段を上がると、木々の向こうに白く輝くような元町小学校が姿を現す。
それは見事な空間構成で、地形的特性が味方しているとは言え、これ程巧みに復興小公園と復興小学校が融合している場所は他にはないだろう。

かつて神田川のふちに‘なでしこ’が咲き乱れていたそうで、今は廃校となりその校章も取り払われているが、この学校の校章にはこの‘なでしこ’の花が使われていた。
創立当時この辺りには私立学校が多くあったが、そんな環境の中に初等教育の重要性を掲げ誕生したのがこの元町小学校だった。
時代は変わり世の中も人の考えも変わったかも知れないが、私立学校が夫々の校風と個性で新しい時代に融合しようと努めている一方で、公立の小学校が自助努力を放棄する様には、やはり違和感を感じずにはいられない。

教育史を調べていても文京区のそれは素晴らしい出来にまとまっている。それは長い教育史の中でそれぞれの歴史的背景にただ翻弄され流されるのではなく、真剣に教育と向き合ってきた証だと思う。
その歴史を残し継承する意味でも、元町小学校を保存活用して欲しいと思う。
そして、この建物には過去を知ることで新しいものへの創造につながるような、そんな場所が最も相応しいと思う...。

by finches | 2009-04-01 07:00 | 復興


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