前稿の新川鉄橋の南にこの寿橋は架かっています。 昭和13年(1938)に完成したこの橋を見ながら、同じ年に竣工し筆者達の21ヶ月に亘る保存活動も無視され、現在取り壊しが行われている函館の弥生小学校のことを思わずにはいられませんでした。 そして、日本という国が一つの目標に向かい夢と希望を持って歩んでいたこの時代は、正に都市基盤と国家の礎となる教育環境の整備が国家的課題であったことを改めて考えさせられました。 この寿橋から河口にかけて僅か600メートルの距離に7つの橋が架かっています。 そのほとんどは今も戦前に架けられたもののままで、それぞれが個性豊かな優しい表情を川面に映すいとおしい橋たちです。 この橋にこんなに立派な灯具付親柱があったことにこれまで気付きませんでした。 人間の記憶回路というものは不思議なもので、何度もこの橋を渡り何度もこの親柱を見ていながら、それが興味の対象外であると脳が判断すると、その指令は記憶中枢に届き記憶から篩(ふる)われてしまうのでしょう。そうすることで必要としない情報はカットされ、脳容量は無駄なく使われているのだと思いました。 この写真の左隅に建築家・村野藤吾の手となるホテルが映っています。また、前稿で書いた同じ村野藤吾による市民館もそこから直ぐの場所にあり、この橋の三本下流にある新川橋の袂には同じく村野藤吾の手となる旧銀行が残っています。 街の中に川が流れそこに何本もの橋があることで、どれだけ街に季節ごとの豊かな表情がうまれるか計り知れないと思います。 次回ももう一度この故郷の川を通して、橋が継承する歴史を考えてみようと思います...。
by finches
| 2010-01-10 06:49
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