[Photograph source]
京橋図書館 Digital archives 昨日聖路加国際病院のチャペルに初めて入った。 そのゴシック様式の薄暗い礼拝堂はステンドガラスから射し込む光でそこがカトリックの祈りの場所であることが分かった。 前稿は掲載した一枚の写真と図面を見ながら書いていたが、写真にまだ礼拝堂が存在していなかったのと同じく、図面もまだ礼拝堂が描かれていないものだった。 そんな状況で病院と礼拝堂との関係に於いて最も重要な部分ではないかと思った写真に写る開口部の意味を確かめたくてチャペルに足を運んだ。そしてやはりそうだと得心することができた。 今ここで、筆者がそこで見たこの病院とチャペルとの間にかつてあった空間構成に触れることはしないが、当時トイスラー院長がこの施設に於いて礼拝堂が中心的位置を占めるべきことと、塔上に十字架を掲げることを心に描いていたということに全ての答えがあるように思う。 そして、「十字架を新しい建物の塔上に高く設置することは、この施設のあらゆるはたらきを実践せしめている根本的な動機を目に見える形で示すことである」、という言葉にこの建物全体を支配する根本の思想がみえてくる。 病室の中に北東に面した部屋がいくつかある。それらの部屋と屋上に設けられた日光浴室からは運動場や屋上で活発に動き回る明石小学校と京橋高等小の子どもたちが眺められたことだろう。そして、その子どもたちの元気な姿は、各階の広間から祈りを捧げることができた礼拝堂と同じく、患者たちの心に希望を与えていたのではないかと思う。 どこにも書かれてはいないし、誰も語ってはいない。 しかし、かつての聖路加国際メディカルセンターはこれら二つの小学校を意識し、そして間違いなくそれらと連鎖する設計がなされていたと筆者は思う...。 [注] 写真左隅(チャペルの向い側)に明石小学校が写っています。
by finches
| 2010-01-31 06:49
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