瑞龍寺は高岡にある禅宗様式の壮大で美しい伽藍をもつ寺で、加賀藩三代藩主前田利常によって山上善右衛門嘉広を棟梁に建設された。正保、明暦、万治年間に建設された主要伽藍に続いて、回廊などすべてが完成して今のようになったのは遅くとも寛文三年(1663)頃と伝えられている。 瑞龍寺は総門を入ると白砂を敷き詰めた空間が現れ、その白砂の先に一直線に山門、仏殿、法堂が並び、山門の両脇から延びる回廊と、その途中にある禅堂と大庫裏とが一体となって美しく調和した景観を形づくっている。 友人のブログで初めてこの寺の存在を知り、その友人は希有な建築家・赤坂喜顕氏の講演でこの寺を知ったと聞き、是非一度訪ねてみたいと思うようになった。 そして昨年の4月に瑞龍寺を訪ねた。 総門を入ると突然現れる白砂を敷き詰めた静寂な空間は、体から一切の雑念邪念が吸い取られるような無の空間で、そこには筆舌に尽し難い息を呑むような清廉な日本美があった。 その白砂の空間はこの先に展開する伽藍を十二分に暗示していたが、山門をくぐって現れた世界はその想像以上のもので、そこにはいくつもの色があり種々の建築がありながら、そこにあるのは正に禅宗の無の空間だった。 回廊に規則的に開けられたこれ以上の均衡は作り得ない小障子に、この空間を静かに支配している一つの高潔な秩序を見たように思った...。
by finches
| 2010-03-02 07:15
| 空間
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