言問橋、言問団子まで来たら、もう目と鼻の先の言問小学校を見ないでは帰れない。 言問小学校は昭和12年に竣工した小学校だが、いつ見ても向島の路地の間から見え隠れするその白い校舎は太陽の光を受けて輝いている印象がある。 旧本所区で最も北に位置する復興小学校は昭和2年に竣工した小梅小学校だが、その少し北に位置する言問小学校の辺りも関東大震災では同様に甚大な被害を受けたことだろう。 関東大震災当時まだこの言問小学校はなかったが、震災復興事業が進むに連れ次第に市街地が整備されていく中で、市街地の拡大と人口の増加に対応する新たな小学校の必要に迫られ生まれたのがこの言問小学校だった。 当時向島という環境の中で、今もこれほど白く輝いて見える建物がどれほどモダンに見え、どれほど子供たちに夢と希望を与えたか思うと、その時代が何と心豊かで温もりに満ち輝いていたことだろとつい考えてしまった。 昭和13年まで建設が続けられた東京市の鉄筋コンクリート造小学校の内、現在墨田区に残っているのはこの言問小学校だけとなった。 他の新しくなった小学校にはかつての面影はなく、復興小公園を併設していたものだけに微かに当時の面影を想像することができるくらいだ。 それらの新しい基準でつくられた小学校がどれも地域との関係を遮断するように高い塀で囲まれているのに対し、この言問小学校は低い石垣と低い植込こそあるが、入ろうと思えば校庭に入ることもできるくらい地域との繋がりの関係を今も保っている。 しかし、その関係は「ここからは入らないでくださいね」という約束ごとを地域と共有することで保たれていて、そんな些細なルール一つとっても安易に高い塀に置き換えようとしないところに、この小学校と向島という町との信頼の歴史があるように思った...。 093■■ 言問小学校 ・其一 195■■ 言問小学校 ・其二
by finches
| 2010-03-25 06:21
| 復興
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