ランディングネットを受け取る日曜の朝が来た。 前日行われた第九の練習初日を無事に終え、全身でオフですと言わんばかりに目が星になっている家人を伴って出掛けた。 カーナビの無いアナログの愛車、出掛ける前に入念に小倉橋の位置を地図で確かめ、だいたいの道順を頭に入れた。 相模川に架かる小倉橋は一度は訪ねてみたいと思っていたが、拙稿で音無橋の3連コンクリートアーチ橋を書いた記憶も新しく、この機会に足を延ばしてみようと決めた。 小倉橋は昭和13年に架橋された美しい4連のコンクリートアーチ橋で、選奨土木遺産にも指定されている橋だが、道幅が狭く今の車ではすれ違えない為に、上流に新小倉橋という巨大なアーチ橋が新たに造られ、小倉橋は人々の生活道路として今でも愛され使い続けられている。 かつての清流も今では上流にダムがある為に澄み切った流れではなくなっていたが、岸には鮎釣りの和船が何艘も繋がれ、深山幽谷まで行かなくてもヤマセミやカワセミを見ることができる場所でもある。 少し前まで話していたSilky woodの主人にこれから小倉橋に行くことを告げると、出掛けに俄かに頭に入れた道順とは全く違う小倉橋への道を教えられた。 主人も小倉橋には懐かしい思い出を持っていて、良い撮影スポットなどを事細やかに教えてくれた。 教わった道は山で暮らす人々の家々を縫うように走り、そこには今を盛りとまるで桃源郷にでも舞い降りたように花々が咲き乱れ、二年前の偶然の出会いから今ランディングネットを手にし、筆者の興味の対象である小倉橋と主人との不思議な因縁にも触れ、この一連のことはあの二年前の展示会で見た黒いLumixが筆者の黒いLumixを引き寄せた世界のようで、何とも不思議でならなかった...。
by finches
| 2010-04-20 07:13
| 空間
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