ちょうど潮の引いた海を見ている時に前稿の放映内容を知らせる連絡が入った。 それを知らせてくれた家人は筆者に代わり熱心にメモを取りながら見てくれたようで、筆者が同番組ホームページで読んだ番組ディレクターのコメントより全体の様子を事細やかに窺い知ることができた。 函館の弥生小学校の解体が市から突然発表されたのを知って、筆者はリノベーションを取り入れた全体保存を訴えながら、その校舎が持っている古い記憶の染み込んだ情操的教育的魅力や、建築的価値や、それが建設された当時の時代背景などを函館市民に知ってもらおうと、同じ復興事業で建設された東京の復興小学校を調べ始めた。 そして、中央区に残る復興小学校を例に、そこに展開する夢のある魅力的な教育環境を伝えようとした。 中央区に残る復興小学校10校のうち、7校が現役の小学校として使われているが、過疎化が進み最も規模の小さい東京駅近くの城東小学校から、今やブランド校として名を馳せる銀座の泰明小学校まで、置かれている様々な状況に差こそあれ、そこで筆者が見たものはあらゆる不便さを受容した上で、創意と工夫でそれらを克服して涼しくそれを語る先生たちの自信に溢れた姿だった。 その中央区で起きた今回の復興小学校の解体・新築問題、教育委員会が自分たちの街の歴史と文化に余りに無知なことがこのような行為を助長させる。 だが、それは戦後教育そのものが文化を蔑ろにし育てることをしてこなかった現代への付けでもある。 復興小学校には真に子供たちのことを第一義に考えた教育理念が詰まっている。 今の新しい校舎にはない、自然の光と風のある持続可能な工夫も詰まっている。 そこには教育こそが国の礎と考えた教育制度と小学校建築が一体となった、正に理想を追い求めた姿がある。 潮が満ち始めた砂浜に下りてみた。 そして振り向くと、真っ黒な自分の影がそこにあった...。
by finches
| 2010-08-09 05:36
| 時間
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