朝日を後に走ること160キロ、高速を降りてからの25キロの一車線の狭い山道は二度と走りたいとは思わない道だった。 食糧を調達した小さな店でその山道への道順を聞くと、「どんな道か分かってますか」、と駄目押しのように聞かれ、思わず、「分かっています」、と答えて店を後にした。 遊魚券を扱うガソリンスタンドに立ち寄りそこで再び道順を確かめると、わざわざ道路を隔てた向こう側の人に声を掛けてくれ、そしてその人曰く、「車の免許を持っていれば走れる、スピードは出さないように」、との助言を受けた。 高所恐怖症でもある筆者にとって、その車幅2メートル以上は通行不可と書かれた道を走る気持ちは、只々対向車が来なければいいがとの思いだけで、その薄暗く狭い道に車を止めて景色を写真に収めるなどの余裕も、そんな気持ちにもなれなかった。 その山道を抜け初めて出会った人にその道沿いに流れる川の名前を聞いた。 すると、その川が正に目指していた川の渓流だと分かった。 山道に入る前のガソリンスタンドでこの辺りは八月末で解禁期間が終わり禁漁期に入っていると聞いたが、12月末までの年間パスを持っている身としては、山を越した向こう側では9月末までは禁漁になる筈がないと思い、正に気分はルンルンだった。 しかし、その川も幾山の向こう側と同じく九月から禁漁期に入っていた。 そして、吊橋から渓相も満点の美しい流れを空しく眺めながら、垂涎の溜息をついた...。
by finches
| 2010-09-28 05:36
| 時間
|
タグ
essay(1007)
昭和(243) かたち(185) 震災復興小学校(96) 箸休め(71) 震災復興橋梁(57) 橋(45) 大正(43) 近代モダン小学校(39) 函館(27) 江戸(24) essay bibliophobia annex(24) 明治(14) essay bibliophobia nuclear(6) 未分類(2) essay bibliophobia annexⅱ(1) 検索
カテゴリ
時間空間 記憶 季節 復興 嗜好 信条 地理 遺産 持続 無題 復興小学校 近代モダン小学校 フォロー中のブログ
Ever Greennaruhodo (茶房... ezzoforte 関根要太郎研究室@はこだて 函館 ・ 弥生小学校の保... I shall be r... リンク
虚数の森
菜滋記 透明タペストリー Clocks & Clouds 以前の記事
2017年 01月2015年 02月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 その他のジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||