492■■ 帯鋸

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江戸時代の大工道具で天竜寺鋸は伐木の用に、前挽大鋸は製材の用に使われた「のこぎり」だ。
葛飾北斎の富嶽三十六景を見ると、「本所立川」に天竜寺鋸らしきものが、「遠江山中」には明らかに前挽大鋸と分かる作業風景が描かれている。
この前挽きと言われる木挽鋸の巾が広くなっているのは、角材や板を挽く為に曲がらないようにしたもので、ものの形には全てにそれなりの意味があることが分かる。

だか、江戸時代も末期になるとグラバーによる機械製材の始まりで、一日に木挽き職人六百人分の挽割が可能となり、次第にこの木挽き作業は機械に凌駕されていく。
そして、丸鋸から帯鋸へと更に改良が加えられ現在に至っている。

写真はその帯鋸の鋸だが、これが上下の鋸車と呼ばれる円盤に固定され高速回転することで製材が行われる。
筆者はこの帯鋸の機械を見る度に、その一部だけ見えている鋸がどのように固定され動いているのか不思議でたまらなかった。
その鋸がさり気なく休日で休みの製材所の壁に掛けられているのを見て、先ずは美しいと思い、次に繋がった一本の鋸だったのかと思った。

難しくなるので帯鋸の説明にこれ以上深入りするのは避けるが、鋸の固定の仕方や鋸が外れない為の仕掛けは興味津々で、中でもこの鋸が円錐形状をしていて、刃がついている側がほんの少しだけ狭くなっているのには感じ入った。

それにしても全く無駄のない機能だけがつくり出す形、これ以上引くこともなければ足すこともない、だからこそそこに美しさを感じるのだろう...。

by finches | 2010-10-06 05:25 | 無題


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