493■■ 鯵とカワハギと柿の葉
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差し入れでも送ろうと思い立った。
秘密裏に事を進めようと思っていたが迂闊にも口が滑り仕方なく何か希望はと聞くと、真っ先に、「絵手紙」、と返ってきて、質問の趣旨とは違うと思いながらも墨を磨り、「柿とメジロ」の絵を描き顔彩で着色を済ませた。
天気も良いし干物でも作ろうかと時計を見ると朝の八時半を既に回っていたが、遅い方の市場ならまだ雑魚くらい残っているかもと車を走らせた。

下拵えを終え竹笊に並べ終わる頃になると太陽は姿を隠し曇天の空に変わっていた。
お天道様に期待できないなら、頼みの綱は風のみ、何とかこの魚たちを極上の干物に変えてくれることを祈った。

さて、写真中央がカワハギ、その周りが鯵、竹笊には吊るす為の蛸糸が付けてあり、石の上で形を整え終わったところだ。
上手い干物に仕上げるには先ず魚を綺麗に捌くこと、そして綺麗に竹笊に並べること、勿論下味なども大事だが、その前にこの基本ができていなければ、見た目も美しい美味い上質な干物にはならない。
泳いでいる魚が美しいのは言うまでもないが、新鮮な魚も美しく、その美しい魚を綺麗に仕上げようとする気持ちが何より大事だと思う。

今朝は竹笊とそこに並べられた魚たちの、かたちの美しさを書きたかった。
そして、それを通して日本人独特の美意識が、日本固有の伝統や文化を育んできたことを伝えたかった。

出来上がった干物の中から形の良いものを選び、用意しておいた柿の葉の間に交互に挟んだ。
その形がまた美しいと自画自賛頻りだが、そのピンボケの写真も添えることにしよう。
ピンボケでも、日本のかたちの美しさは少なからず伝わるだろうから...。




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by finches | 2010-10-07 05:53 | 無題


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