497■■ 白塀の町並み

497■■ 白塀の町並み_b0125465_7135691.jpg


前稿の港町は海から日が昇るが、同じく前稿で触れた白塀の城下町は山から日が昇る。
そんな山から朝日が昇る中、白塀の続く道を歩いた。
まだ町は眠っているように静かだったか、波の音が時折風に乗って微かに聞こえてきた。

前夜は白壁の商屋が残る道に沿って、門松の竹を短くした形の三本の竹筒に蝋燭を点し、それが無数と思えるくらい並べられた神秘的で妖艶な世界に酔い浸った。
その記憶も覚め遣らぬ次の朝、朝日を逆光に心の底から美しいと思える景色に再び酔い痴れた。

朝のひんやりと澄んだ空気は気持ち良く、それは忘れかけていたアルプスの山小屋で朝焼けを見ながら吸い込んだ、あの澄んだ空気のように感じられた。
一時間の短い散歩だったが、白塀の道を突き当たると向きを変えながら城跡まで歩き、後は塵一つない締まった砂浜を、心地よい海風を胸一杯に吸い込みながら戻った...。

by finches | 2010-10-12 06:06 | 時間


<< 498■■ 庭の見方 496■■ 白壁の町並み >>