519■■ 饒舌抄

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打ち合わせの為に戻った東京での三日間はあっという間に過ぎた。
午後遅くに着いた最初の日は、次の日に持参する書類の内容をあれこれ考え纏めることで過ぎた。
次の日その打ち合わせが終わると、友人の仕事場を訪ねて暫し話を弾ませた後、家人の待つ行きつけの店へと向い、久し振りに会う気の好い友人たちと美味い料理と酒を楽しんだ。
そして最後の日は堆く積まれた郵便物に目を通し、帰った日に下書きを終えていた書類を仕上げ、それを提出に新宿まで出掛けた。

東京を離れる朝、鞄には戻った時よりも一枚の冬着と一冊の本が増えていた。
やっと仕事の終わりも見えてきた。
まだまだ自分でやらなければならないことや、最終の段取りもそつ無くこなさなければならない。
だが、そんな日常の中のほんの一時でも、ゆっくりと持ち帰った本を読む時間をつくろうと思う気持ちも湧いてきた。
七ヶ月近くに及ぼうとしているここでの仕事の評価は、出来上がった「もの」が語ってくれるだろう。

人はその「もの」について饒舌に語る必要はない。
その思い出や先のことを語らうことに饒舌であればいい。
持ち帰った一冊の本は建築家・吉田五十八のそんな饒舌を抄したもの。
先ずはこの「饒舌抄」からゆっくりと味わってみよう...。

by finches | 2010-11-14 08:17 | 無題


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