563■■ くじけないで
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長いこと東京を留守にした挙句、やっと戻って来たと思ったら過労で弱った体に細菌が入り込み、39度以上の熱が出て10日間も床に臥した。
そんな訳で復調してからも下町散策は自粛していたが、この日曜日、小春日和に誘われて隅田川まで出掛けてみた。
水天宮でメトロを降り地上に出るとこの時期まだ初詣の長い列が続いていたが、それを横目に人形町まで歩き、今度は路地を雁行しつつ戻りながら、旧浜町川の川筋を越えて浜町公園に入った。

そして、隅田川テラスを中洲方面へと下りながら、対岸に萬年橋を眺め清洲橋の下をくぐり、豊海橋を渡りながら永代橋の雄姿を眺め、そしてその永代橋の下をくぐり、南高橋を渡り鉄砲洲稲荷の角を曲がって鉄砲洲公園に入った。
公園は子供や大人たちで賑わっていたが、その先に見えたものは解体が進む旧鉄砲洲小学校(復興小学校)の哀れな姿だった。

次に明石小学校(復興小学校)に向かったが、そこにはもうあの名建築の雄姿は欠片もなく、ただプレハブ校舎の真新しい窓ガラスだけが陽光に光っていた。
空虚な気持ちで旧築地川、旧楓川を過ぎ銀座を抜け、旧京橋川を過ぎ京橋から丸の内へと向かった。

随分と歩いて疲れていたが、最後に立ち寄ろうと決めていた書店で一冊の詩集を買い求めた。
隅田川の水が汚れていたせいか、小春日和の霞んだような陽射しのせいか、どの橋も精彩を欠き、一つの復興小学校は完全に姿を消し、一つは今正に姿を消しつつある瞬間に遭遇し、体も心も疲れていた。
だが、詩集の中のことばは一語一語が太陽に照らされたような輪郭を持ち、初々しく、若々しく、清々しく、疲れた心を穏やかに優しく包んでくれた...。

by finches | 2011-01-11 05:08 | 無題


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