568■■ 街の灯
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住むなら地上から3階くらいまで、できれば2階くらいまでがいい。
それは木の高さとの関係からそう思うのだが、高くても目の高さは木を見下ろさないくらいがいい。
その高さならまだ地上の気配も感じられるし、土の臭いこそ届かないにせよ、季節の移ろいや人の営みの気配も感じられるし、草や花の形や色も分る。

また、その高さくらいなら階段も然程苦にならないが、それ以上になってくると地上に下りることさえ億劫になり、ついつい部屋の中で過ごし勝ちになる。
大正の終わり頃から戦前にかけて木造から鉄筋コンクリート造に小学校が建て替えられていくが、その高さを3階建までとしたのは子供たちの避難のことを考えてのことではあったが、子供たちと地上との距離のことも同じくらい考えた末のことだったと思う。

この地上との関係が断ち切られた空間に長く身を置いていると、次第に土や自然への関心が薄れ、やがて人や社会に対しても関心が希薄になり、大切な感性もフラットになりそして退化するように思えてならない。
53階の窓から東京の夜に無数に散らばる灯を眺めながら、音も気配もない世界を見入った。
写真はそんな歪んだ世界を写し取っているのかもしれない...。

by finches | 2011-01-16 04:41 | 無題


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