576■■ 零戦と図書館
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零戦と苦闘すること3時間、気が付くと時計の針は午後の1時になろうとしていた。
昨年、半年以上東京を留守にしたせいで、今では作り終えた数より手付かずの数の方が多くなり、ずらりと並んだ未開封の40箱の零戦がプレッシャーをかけている。
日曜の朝、一箱分でも片付けようと始めたものの、結局主脚の根元にピンセットでもうまく摘めないくらいの極小部品を二つ付けただけで、その次の工程は何度やっても上手くいかず、結局説明書にある瞬間接着剤での固定を諦め、ネジ孔を加工しマイクロビスで固定する改造を決断して作業を終えた。

この日は復興小学校を調べに図書館に行く予定で、昼前には家を出て途中で軽く昼食も取ろうと決めていたが、その予定は零戦のせいで大幅に狂いに狂った。
虎ノ門でメトロから地上に出ると、いつもの道を東京タワーに向かって進み、愛宕山のトンネルを抜けると旧愛宕高等小学校を横に見て、次に愛宕小学校があった場所を歩道橋の上から眺め、六つの復興小学校が統合されて生まれた新参・御成門小学校の横を通り、芝公園の端を抜けて図書館に着いた。

この図書館での座る席はいつも決っていて、着くと事前に調べて来た本の検索をかけて書庫出納を依頼する為の出力を済ませると、それを持ってレファレンスカウンターに向かった。
昨日は結局7冊を書庫から出してもらい、書架からも同じ数の本を取り出してあれこれ調べた。
5時の閉館で少し暗くなり始めた館外に出ると、今は無き鞆絵という復興小学校の跡地に回ってみた。
ユニークな平面を持つ鞆絵の姿をその更地の中に思い描きながら、ここからは東京タワーが空に高く伸びていく様子も望めただろうと想像した。
そして、その場所を後にし暗くなった道を曲がり少し歩くと、ビルの間からオレンジ色に夜空に浮かび上がった東京タワーが、少し前想像した正にその方向に大きく輝いて見えた...。

by finches | 2011-01-24 07:12 | 時間


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