前稿の二階建四軒長屋よりもっと根岸小学校に近づいたところにこのモダンな住宅は建っている。 この辺りも大分様変わりしたようだが、丸窓のある家や三階建ての木造の家などが同じ露地に面して残っていて、この一角にそんな住まいを求めた人たちの暮らしがあったことを今に伝えている。 その露地まで歩く間に恐らく上野公園か谷中墓地での室外授業を終えての帰りなのだろう、根岸小学校の生徒たちの一団に出会った。 みんなジャージーや私服ではなくお揃いの紺の制服をきちんと着ていて、引率の先生の先生らしからぬ威厳の無さとそれを写したような軽装の身なりが妙に不釣合いな印象として残った。 少し今の根岸小学校の前身を紹介すると、日中戦争による物資統制から昭和13年(1938年)にその建設に終わりを遂げる東京市(当時)による鉄筋コンクリート造小学校の最後のグループに入り、昭和13年に建設された3校の内の一つとなる。 この辺りは関東大震災で火災から免れたことで、お寺も多いこの辺りの露地には古くからの家が残り、そんな風趣に誘われて文人墨客も住んだかも知れないと思わせる雰囲気があった。 さて写真の家だが、御多分に洩れず母屋は左奥に写っているハウスメーカーのもので、この家には若いお孫さんが住んでいるそうだ。 開放的な窓を通して窺えるその暮らしは、露地の空間だけではなく丸窓のある家や三階建ての木造の家や木や花や行き交う人までその全てを借景として取り込んで、ここにも前稿四軒長屋で感じた工夫しながらの身の丈に合った暮らしがまるで露地と呼応するようにあって、心地良い後味の良さが心に残った...。
by finches
| 2011-02-05 06:31
| 時間
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