一日二箱は吸っていた煙草を止めて随分久しい。 禁煙だと一本吸ってしまえばお仕舞いで、やはり無理だったと悔いながら再び吸い始めることになる。 だが、吸いたくなれば吸えばいい、と軽い気持ちで煙草を止めるとこれが続くから不思議なものだ。 筆者の場合、飲んだ時に煙草を手に取ることが偶にある。 親しい友人と飲む時に一二本頂戴したり、バーにシガーを置いていたりするとそれに火を付けて楽しむこともあるが、それもせいぜい一年に一二度あるか無いかくらいのものだ。 そんな筆者がこの一二年街を散策する時にある一つの銘柄の煙草のことが気になっていた。 北海道に住む名人釣師が釣りを始める前にゆっくりと時間をかけて煙草を吸う。 それはヒグマが煙草の煙の匂いを嫌うからだそうで、ここに人間がいるぞ今から川に入るぞ、と煙草の煙で熊に知らせる為だそうだ。 その話を聞いて釣行には煙草を忍ばせておくのもいいなと思うようになった。 また、釣りの途中誰もいない渓流の木洩れ日の下で、ゆっくり煙草に火を付けてみたいとも考えるようになった。 その煙草の銘柄はゲルベ ゾルテ(GELBE SORTE)という。 この煙草に出合ったのは18歳の頃だから、もう随分昔のことになる。 蓋を上に開け、次に銀紙を開け、薄い油紙を両側に開くと、楕円の形状をした両切り煙草が二段にギッシリ並んでいた。 そして徐にまるでシガレットケースから取り出すように一本を摑むと、鼻先でその独特の香りを嗅いだものだ。 釣行に忍ばせるのはこの煙草だと、散策の途中に煙草専門店があると中をちょっと覗いたりしていた。 あるブログにゲルベゾルテの文字を見付け、どこかで聞いたような気がして読み進むと正に同じGELBE SORTEだということが分って驚いた。 どうも見掛けないと思い改めて調べてみると、残念ながらこの煙草ドイツでも既に廃盤になっているようだ...。
by finches
| 2011-02-06 06:21
| 嗜好
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