624■■ 花
2011年3月11日午後2時46分に発生した東北関東大震災から一週間が過ぎました。
改めて、罹災された方々へのお見舞いと、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
そして、ことばにするのもはばかられるこの難局を何としても乗り切られますよう心より願い祈っております。


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三陸を訪れてから早いもので20年が経つ。
釜石製鉄所が高炉を停止し一度その工場を見ておきたいと思ったのだが、訪れた時溶鉱炉は既に解体され一本の高い煙突が聳えていたことが印象に残っている。

この時のもう一つの目的は三陸鉄道に乗ることだった。
盛岡を悠然と流れる北上川にひとしお感動した後、バスで久慈に向かった。
その途中にあった「別れ」というバス停が今でも記憶に焼き付いている。

海側の景色を楽しもうと久慈から三陸鉄道を南下したのだが、海が近くに見えたという記憶は一箇所だけで、後は海から離れているかトンネルばかりだった。
後で考えてみると、リアス式の切り立った海岸近くに鉄道を通すことなど不可能だと思った。

釜石に降りたことは確かだが、その先どう回ったのかは覚えていない。
というのはこの時の旅は記録がまったく残っていないからだ。
いつもはカメラを手に出掛けるのだが、この時はカメラを持たず旅やその思い出を俳句に残そうと出掛けた。
 [注:記録がないのはその時の手帳を紛失したため]

季節がいつだったのかも覚えていない。
だが、そばの花が咲いていたから秋口だったのかもしれない。
他にも庭先や畑や畦道などに、色とりどりの素朴な花が咲いていたことだけは鮮明に覚えている。


  貧しさに克てとばかりにそばの花

その時詠んだ句でこれだけを覚えている。
色とりどりに咲く素朴な花がこの地方の風土と暮らしを代弁しているようで、何だかもの悲しく感じられた。

あの時三陸鉄道から見た景色がみんな津波に消えた。
だが、そこにももう直ぐ花が咲き始める。
そして、その花が人の心を癒し支えになることを祈ってやまない...。

by finches | 2011-03-19 06:20 | 無題


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