637■■ 津波想定高さ 06 -貞観津波の高さ
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Numerial simulation of the AD 869 Jogan tsunami in Ishinomaki and Sendai plains





前稿で869年貞観津波から2011年東日本大震災津波までに東北地方の太平洋岸を襲った津波とその周期について整理をしました。
本稿では869年貞観津波と1611年慶長津波における津波の高さについて整理しておきます。
先ず869年貞観津波ですが、出典ごとにその推定高さを並べてみます。

[貞観津波による津波被害の定量的評価(2005~2007年)/ 東北大学教授,箕浦幸治]
津波発生の理工学的解析を試み、貞観津波の数値的復原に成功したことで、仙台平野の海岸部では最大9mに達する到達波が7~8分間隔で繰り返し襲来したと推定、と述べられています。
更に、その結果は相馬市の海岸には更に規模の大きな津波が襲来したことを示唆している、と続いています。
更に別章には、相馬から気仙沼にかけての約6~12mという津波の復原データも示されています。

[石巻・仙台平野における869年貞観津波の数値シュミレーション(2008年)/産業技術総合研究所、他]
津波の遡上高さと最奥の津波堆積物の標高との比較表において、4.1mという数字が示されています。

[女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策(2007年)東北電力,橋本泰男]
調査の結果とした上で、2.5~3mという数字が示されています。
  [筆者注記] 具体的な調査内容についての明記はありません。

次に1611年慶長津波ですが、同じく出典ごとにその推定高さを並べてみます。
[貞観津波による津波被害の定量的評価(2005~2007年)/ 東北大学教授,箕浦幸治]
慶長津波の津波高さへの言及はありません。

[仙台平野の堆積物に記録された歴史時代の巨大津波-1611年慶長津波と869年貞観津波の浸水域-(2006年)/産業技術総合研究所、他]
記録によれば、宮城県岩沼市の阿武隈川沿いにある千貫山の麓に船が運ばれたらしい、との記述が見られます。

[女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策(2007年)東北電力,橋本泰男]
文献によるとした上で、6~8mという数字が示されています。
  [筆者注記] 具体的な出典文献についての明記はありません。

それでは前稿の空欄を埋めた上で、その他の東北沖を震源としないものも加えて並べると次のようになります。

 869年,貞観津波 仙台平野で9m
 1611年,慶長津波 仙台平野で6~8m(但し、根拠となる出典文献は不明)
 1960年,チリ地震 三陸沿岸で6m
 1968年,十勝沖地震 三陸沿岸で5m
 1896年,明治三陸津波 仙台平野で5m以上、大船渡で38.2m
 1933年,昭和三陸津波 仙台平野で3.9m、大船渡で28m超

これらのデータはそれぞれの算出根拠は異なるとしても、そのデータが示す通り貞観津波の高さが決して特異なものではないことが分ります。
即ち1100年周期で予想されている巨大津波への万全の備えとして、少なくとも原発においては貞観津波の高さに安全率を掛けた値を想定高さとすべきであったと考えられます。

1200字になりました。
まだ、終りではありません。
by finches | 2011-04-06 03:53 | 無題


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