639■■ 津波想定高さ 08 -東京電力の場合
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『女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策(2007年)東北電力,橋本泰男』から女川原子力発電所における東北電力の津波に対する考え方をもう少し見てみます。
写真の右上はその資料の10ページですが、数値シミュレーションの結果として敷地標高と設計水位の関係が断面図で分り易く示されています。

上半分には次の内容が示されています。
 →平均高潮位O.P.+1.43m
 →最高水位(設計高水位)O.P.+9.1m
 →敷地標高O.P.+14.8m
そして、最高水位は敷地標高以下になるとの結論が示されています。

同じく下半分には次の内容が示されています。
 →最低水位(設計低水位)O.P.-7.4m
 →取水口敷高より下の水位が濃青で、最低水位が薄青で色分けされています。
そして、最低水位時にも原子炉冷却用水は確保されるとの結論が示されています。

また、これら二つの断面図からは更に次のことが読み取れます。
一つ目は、最高水位で原子炉建屋への直接的な浸水のチェックが行われ、最低水位で原子炉冷却用水の確保のチェックが行われていることです。
二つ目は、海水面と海水ポンプ室はサイフォンになっていて、原子炉冷却用水の取水口の先は最低水位時でも水面下になければならないということです。

つまり原子力発電所の津波対策とは、津波の最高水位だけではなく最低水位のチェックが原子炉の冷却維持を担保する上でより重要であることが分ります。
この資料からは、O.P.+9.1m~O.P.-7.4mまで、即ち16.5mの潮位の変化に対する検討とその対策が必要だということを読み取ることができます。

次に、写真の下側に大きく断面図が描かれていますが、これは東京電力福島第一原子力発電所3号機の断面図です。
左側の赤い部分が原子炉でそれを覆う建物が原子炉建屋、右側の低い建物がタービン建屋となります。
タービン建屋の主階は地下1階にあり、原子炉を冷やす為の冷却ポンプなどの主要機械もこのフロアーに配置されています。

断面図の中に赤い3本の線がありますが、一番下の線がO.P.±0m、真ん中の線がO.P.+10mで地盤のレベルになります。
東京電力が発表している津波高さ14mはその真偽を確認する術がありません。
また、同じく東京電力が言うところの津波の想定高さ5.4m~5.7mもその算出根拠が示されておらず、一説にはもっと低い津波高さしか想定していなかったと言われています。
しかし、ここでの論考はあくまで客観的事実だけに的を絞り、それ以外の主観的或いは想像的な言及は避けたいと思います。

先の東北電力の女川原子力発電所では16.5mの潮位の変化に対する検討と対策がなされていました。
しかし、筆者が集めた全ての資料を通して、東京電力では東北電力に匹敵する検討と対策が緊迫感を持って行われた形跡はどこにも見当たりません。

そろそろ1200字になります。
まだ終わりではありません
by finches | 2011-04-08 03:21 | 無題


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