649■■ 津波想定高さ 16 -想定高さ=3.1m
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柏崎刈羽原子力発電所の 『地震随伴事象に対する考慮 津波に対する安全性について(2008年12月)』 のような、福島第一原発に関する同様のレポートの存在を確認することはとうとう出来ませんでした。
しかし、869年貞観津波をはじめとして、明治三陸津波や昭和三陸津波の津波高さについては既に示した通りです。
また、これらの津波高さの記録を実際の原発建設に反映した女川原発と東通原発という二つの事例が、同じ東北地方にあることも既に示した通りです。
そして、その他のどの原発でも海水の最高水位の把握も然ることながら、原子炉の冷却に直接且つ重大な影響を及ぼす最低水位の把握はより重要で、それらの正式レポートをそれぞれの原発では見ることができます。

本稿では東京電力の福島第一原発における津波の想定高さについてまとめてみようと思います。
様々な資料に目を通したことで分ったことですが、先ず基本的に言えることは、原発の主要な検討課題は地震対策にあるということです。
上のレポートのタイトルにもあるように、津波はあくまで地震随伴事象という従属的扱いで、福島第一原発の場合は正に津波を甘く見て対策も対応も誤った典型的な例だと言えます。

そして、もう一つ言えることは、その地震に対して原子炉建屋の支持地盤を如何に安定した硬い岩盤に置くかが第一義に考えられ、このレベルからタービン建屋のレベルが決り、同時に海面からのそれらの標高が必然的に決り、その標高に対して津波による最高水位と最低水位による影響の検討がなされるという流れを見ることができます。
そして、その前提には海からの荷揚げの問題、冷却水として海水を取水しているという冷却システムの構造的な問題から、海面からそれ程高いレベルには建設できない、否、建設したくないという思惑があることが分かります。

福島第一原発の場合、津波に関しては3つの情報があります。
一つ目はこの度の原発事故後に東電が発表した、5.4~5.7mという想定津波高さです。
そもそも5.4mでも5.7mでもなく、5.4~5.7mというところに先ずその信憑性が疑われますが、想定の甘さが重大事故を招いたことで慌てて作り上げた数字に思えてなりません。

二つ目は福島第一原発建設の記録映画の中に残されています。
上の写真はその映画からの2枚ですが、上は建設前の30mの台地が続く建設予定地で、下はその台地を20m掘り下げ建設されようとしている第1号及び第2号原子炉を背後に持つ福島第一原発の透視図です。
この記録映画の中に 「(前略)この地は過去数百年に亘って地震や台風、津波などによる大きな被害を受けたことがない(後略)」 とナレーションが続き、港の堤防と護岸の為のシュミレーションが水槽実験で繰り返されている様子が映し出されています。
この水槽実験の波の高さが正に津波の想定高さであり、25トンの消波ブロックというナレーションから、その大きさは凡そ3mであることが分り、現在の港の写真からも想定していた波の高さは3mくらいではなかったかと推察できます。

三つ目は東京電力の内部資料の中に見ることができます。
それは2005年4月に出されたTEPCO REPORT VOL.109で、タイトルは 『平成17年度「経営計画」』、その中に 『発電所の津波対策』 が取り上げれています。
それによると、発電所の津波に対する検討手順として次のように書かれています。

  ① 敷地周辺で過去に発生した津波に関する文献調査・聞き取り調査
  ② 敷地に影響を与える可能性が否定できない津波の選定
  ③ 津波の数値シミュレーション
  ④ 発電所の敷地高さ・取水設備との比較

そして、2004年インドネシア・スマトラ島沖地震津波、1933年昭和三陸地震津波、1993年北海道南西沖地震津波など、大規模な津波の発生にも言及がされています。
そして最後に書かれた発電所における津波評価を見ると、各原子力発電所の設置許可時での評価が次のように示されています。

  ① 福島第一 上昇側評価結果O.P.+3.1m 下降側評価結果O.P.-1.9m
  ② 福島第二 上昇側評価結果O.P.+3.7m 下降側評価結果O.P.-1.9m
  ③ 柏崎刈羽 上昇側評価結果O.P.+3.7m 下降側評価結果O.P.-3.4m

柏崎刈羽原発の値が上の 『柏崎刈羽原子力発電所 地震随伴事象に対する考慮 津波に対する安全性について』 内の数値と一致しない理由は分りませんが、これらの数字が設置許可時、即ち申請書類に書かれたものであることは明らかだと分ります。

ここに挙げた福島第一原子力発電所における津波に関しての3つの情報のどれが信頼に足るかは明らかだと思います。
筆者は設置許可時の数値が低いことを言っているのではなく、福島第一原発に襲来する巨大津波の可能性の指摘を無視した東京電力と経済産業省の責任と、責任を回避する為に上の数値を隠し姑息にも新しい数値を捏造する姿勢を問題にしているのです。
そして、これらの事実を知りながら、匿名ですらその事実を公表しようとしない全ての専門家をはじめ関係者の、人としての姿勢を問題にしているのです。


上の記録映画にリンクを貼っておきます。
  『黎明―福島原子力発電所建設記録 調査篇―』 (企画:東京電力、製作:日映科学映画製作所、1967年、26分)
  →http://143.mediaimage.jp/0687/reimei.wmv

こちらは福島原発の続編です。
  『福島の原子力』 (企画:東京電力、製作:日映科学映画製作所、1977年〔1985年改訂〕、27分)
  →http://143.mediaimage.jp/0687/fukushima-genshiryoku.wmv

こちらはわが国初の原子力発電所が東海村に建設された、その第一号炉の五ヵ年にわたる建設の記録です。
  『原子力発電の夜明け』 (企画:第一原子力産業グループ、スポンサー:第一銀行、制作:東京シネマ、1966年、43分)
  →http://143.mediaimage.jp/0687/genshiryokuhatsuden-no-yoake.wmv

こちらは東京電力のTEPCO REPORT VOL.109へのリンクです。
  →http://www.tepco.co.jp.cache.yimg.jp/company/corp-com/annai/shiryou/report/bknumber/0504/pdf/ts050405-j.pdf
by finches | 2011-04-26 04:27 | 無題


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