655■■ 炉心溶融
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東京電力は原発事故から2ヶ月が経過してようやく炉心溶融を認めた。
炉心溶融には二つの原因が考えられ、その一つである冷却不能だけが取沙汰されているが、もう一つの制御棒挿入不能について触れられることはない。

もう一つ東京電力は原子炉格納容器の水棺作業を水漏れを理由に中止すると発表した。
これにも二つの問題が考えられ、一つは注入した水はその構造から必ず海に流れ出るリスクが予想されること、いま一つは原子炉格納容器を水で満たした場合、当初の耐震設計条件を遥かに超える荷重になることで再び地震が発生した場合、更なる大ダメージが各所に及ぶ可能性が予想されることだ。

3号機の原子炉格納容器で実際に計算してみると、例えその容器が満水になったとしてもその水量は5,000トンに届かず、それを遥かに超える注水の継続は漏水の可能性を予測するに十分であった筈で、どのように考えればこれだけ水棺を中止する決定が遅れるのか理解ができない。

原発における耐震対策に係わる東電レポートは数多存在する。
その中の一つ、福島第一原発3号機の耐震安全性について昨年7月に作成されたレポートに目を通したが、東電は炉心溶融の可能性を事故発生後短時間の内に予測できていたと思われる。
因みに事故発生から5日後には既にメルトダウンが始まった可能性が報じられている。

そのレポートは180ガルの地震動を既往波とした上で、参考としてその1.5倍に当る270ガル時の値も示しながら基準地震動との比較が行われている。
その中で筆者の目を止めたのは制御棒の挿入性についての考察で、燃料集合体の間に挿入されることで原子炉を停止させる制御棒と燃料集合体の地震振動時のクリアランスについて触れられている部分だった。

それによると、制御棒は3.5秒以内に90%以上が挿入されることが求められることへの検証と、制御棒が挿入可能な燃料集合体の最大変位40mmに対して、求められた相対変位が15mmであることから安全評価が下されている。
更に同レポートの添付資料を見ると、新潟県中越沖地震時の柏崎刈羽原発で観測された地震動による評価結果からその相対変位を28mmと算出し、その結果をして許容値40mm以下と安全評価を下している。

ただ、東電は福島第一3号機に関しては507ガルであったことを公表しているが、1、2号機に関しては地震計の針が振り切れて測定できなかったことが分っているし、だとすればその最大値をもって相対変位を計算することで、冷却不能だけではなく制御棒の挿入不能によるメルトダウンの可能性を早期に予測できたと考えられる。

このガル値については1,000ガル以上を想定する必要性を指摘している真の専門家もいるが、東電の想定値は実に不可解で原子炉基礎下端における既往波ガル値と、開放基盤面における基準地震動の比較で安全評価を行うやり方で、しかもある特定部位に特化した方法による、◎の評価しかない、最初から結果ありきの報告書がひとつの意図をもって作られてきたと考えられる...。

by finches | 2011-05-21 04:49 | 時間


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