678■■ 照朝
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昨日の朝から縁側に腰掛けある句集を少しづつ読んでいる。
太陽が姿を現す前の風だけが爽やかにわたるひと時、開いたページにある句を取りとめもなく目で追っている。
それらは春の句であったり秋の句であったりと、なかなか今の季節が現れない。

ふと目を上げると太陽が木々の葉を照らし始めていた。
まだ影もつくれないほどの弱々しい光に浮かび上がった葉は、僅かだがそこだけが照るように明るく感じられた。
やがて光を増すにつれ、橙の木は灰色に汚れた白い塀にくっきりとした黒い影を投影した。

そして、光はそれが当る部分と当らない部分を明確に分け始めた。
薄皮をまとった玉葱はそれなりに美しいものだが、そこに光が当ると一層と輝き美しさを増した。
吊るした玉葱は今年送られてきた三回目のもので、日持ちのしない超早稲ものや早稲ものと違い、吊るして長い間その味を楽しむことができる。

再び目を上げると、もう太陽は地面全体を照らしていた。
そして、地上に突起する全てのものに平等な影を与えていた。
今日も快晴、暑くなりそうだ...。

by finches | 2011-07-12 07:23 | 時間


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