699■■ 微かな音

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正面の書棚を見詰めじっとしていると様々な音が聞こえてくる。
その中で昨日から気になり始めたのが天井を外した屋根の架構のどこかから聞こえてくる微かな音だ。
壁も外し剥き出しになったコンクリートブロックには全面に石灰が塗られ、かつて仕上材に覆われていた頃その裏や間を自由に行き来できていたルートは断ち切られている。

今ここで生存できるのは既にここに住み着いていた守宮(ヤモリ)の子孫と小さな蜘蛛くらいのもので、それも守宮が全ての蜘蛛を捕食し終えた時点でこの空間での食物連鎖も終わりを向かえる筈だ。
そして、最後に守宮の共食いによって全ての生き物は絶える筈だと考えていた。

守宮にとって蜘蛛以外に食糧はないように思うし、蜘蛛に至っては何を食べているのか不思議でならない。
だが、守宮は時々真新しい障子の上に見かけるし、糸を張ることのない小蜘蛛はピョンピョンと床を跳ねている。

上から聞こえてくる微かな音が何なのか不思議でたまらない。
そんな不思議な音に耳を澄ませていると、外から小鳥の鳴き声が聞こえた。
そして、弱かった朝の光が障子を卵色に染め始めた...。

by finches | 2011-09-28 06:35 | 空間


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