717■■ 吊るし飾りと呉服店
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近くて遠かった町という言い方が当たっていると思う。
バスや電車や車で何百回その町は通り過ぎたことか知れないが、こんな町並みとそこでの穏やかな暮らしが残されていようとは、不覚にも一年前まで全く気付くことはなかった。
だが、偶然にもその古い町並みの存在を知ってからは、それは近くて大好きな時々訪ねてみたい場所へと変わった。

昨年はこの町に残る旧家の資料館での歴史講座に参加し、この町並みの歴史を学んだ。
来月には同じ場所で行われる『吊るし飾り』作りへの参加を既に申し込んである。
おばあちゃんが先生のその『吊るし飾り』作りは定員6名の小さな催しで、筆者に針と糸での小さな飾り作りができるかどうかの自信はない。

さて、その町並みの中にこの呉服店もあるが、白壁と海鼠壁と黒瓦の枯れた調和が美しく、屋根に載った大きな看板もこれくらいのものでないとバランスしないくらいの力がこの建物にはあった。
ところで、こうゆう店で共通しているのは、たいてい隣り近所の人が毎日何人か集まっていて、その賑やかな話し声が通りまで聞こえてくることだ。

古い町並みに生きた暮らしがあって、そこからは大人たちの日がな一日絶えない話し声や笑い声が聞こえて来て、格子戸の中からは子どもを叱る声や掃除をする音が聞こえて来て、猫は我介せずと通りを横切り、屋根の上では別な猫が気持ち良さそうに昼寝をしている。
そんな穏やかな日常がゆっくりと流れる暮らしを、いいなあと思って筆者は眺める。

次に訪れる時は『吊るし飾り』作りで少し緊張しているかもしれない。
だが、ここに暮らす人ここを好きな人との新たな出会いがあるかもしれない...。

by finches | 2011-10-16 04:50 | 時間


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