722■■ 三越の包装紙
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日本橋三越からの荷物が届いた。
普通は包装紙というものは何かを包んでいて、全体のデザインの一部を覗かせているだけだが、このように惜しげもなく全体を開けっ広げにした状態で見るのは初めてだ。

三越の包装紙はこれまでにも広げて見たことはあったが、その濃いピンクの模様が何をデザインしたものなのか、どこからどこまでが繰り返されているのか、一体誰がデザインしたのか、いつ頃からあるのか、それらについてはとんと知らなかった。

思えば四国の丸亀にある猪熊弦一郎現代美術館を訪れたことはある訳で、そこできっとこのデザインにも触れていたのだろうが、そんなことなどとんと忘れていた。
そう、この包装紙のデザインは猪熊弦一郎画伯によるものだが、mitsukoshiのロゴが当時三越宣伝部の社員だった漫画家・やなせたかし氏によるものだと知ってまた驚いた。

このデザインには『華ひらく』という名前がある。
そして、このデザインが生まれたのは1950年のことで、『クリスマス用に百貨店のシンボルになるようなオリジナルの包装紙を作ろう』という企画で生まれた、日本初のデパートの包装紙であることも分った。

そして、この『華ひらく』と名付けられたデザインは、画伯が千葉の犬吠崎を散策中に海岸で波に洗われている石を見て、「波にも負けずに頑固に強く」をテーマにしようと考え生まれたものであることも分った。
そう、あのアメーバのようなゾウリムシのような変な形は石で、付け髭のようなあの変な形は波だと分った。

どこからどこまでが繰り返されているのかも分った。
それは16の図形の繰り返しで、mitsukoshiのロゴはその中の2つに、三越マークはその中の4つにあしらわれていた。
こうやって見ると原画が見事なことは言うまでもないが、そのデザインを壊すことなく絶妙のバランスとセンスでロゴとマークを嵌め込んだ『やなせたかし』もまた恐るべしと思った。

開けっ広げに包装された包装紙から、その濃いピンクの模様が何をデザインしたものなのか、どこからどこまでが繰り返されているのか、一体誰がデザインしたのか、いつ頃からあるのか、これらの疑問の全てが解けた。
次はこの包みの中に入っているものが何だったのか、それもまた紹介したい。
それはきっとこの『華ひらく』にぴったりの、心のこもったものだと思うから...。

by finches | 2011-10-25 03:48 | 時間


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