733■■ 雨音
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今朝も外からは雨音が聞こえる。
耳を澄ますとひとえに雨音といっても、そこにはいろんな音が混ざっているのが分る。
土を打つ、石を打つ、屋根を打つ、木の葉を打つ音、樋を流れる、樋を落ちる、樋から吐き出される音、排水溝を流れる、流れ込む、流れ落ちる音、壁を打つ、塀を打つ、垣根を打つ、木立を打つ音、そして、跳ねる音、跳ねて何かに当る音、そんな音がオーケストラのように聞こえてくる。

かつて建築家・安藤忠雄の『住吉の長屋』が発表された時、部屋から部屋に傘をさして移動するその斬新な空間の構成に驚かされたものだが、正に今自分自身がそれを体験してみて、それは、それはそれは風情があっていいものだと実感している。

面白いことに、移動の為の履物からそんな暮らしに合ったものを選ぼうと脳が指令を下す。
これまで何とも思わなかったサンダルは雨で土が跳ねると履き心地が悪く、靴はいちいち履くのが面倒となると、最後の選択肢は下駄になる。
雨が降ると土は濡れているし水溜りもできるが、下駄ならそれも平気だ。
そして、下駄の音には何とも言えぬ風情がある。

部屋の中だけにいると、暑いと汗をかかないようにじっと過ごそうとするし、寒いとじっとして外に出ようとは思わない。
だが、別の部屋には外に出なければ行けないとなると、暑ければ汗もかかねばならないし、陽射しが強ければサングラスもかけたくなる。
逆に寒ければ服を着込まなければならないし、靴下も履かなければならない。

だが、靴下を履いての下駄は歩き難い。
だから、素足で下駄を履くことになるが、その冷たさが凛としてまた気持ちがいい。
雨が降って濡れれば濡れた足を拭けばいい。

そんな暮らしをしていると草も花も実も葉も落葉までもみんないとおしく、同じ暮らしの中で共存している仲間に思えてくる。
だから落葉はそのままにして楽しみたいし、石の上の落ち葉は踏まないようにそっと土の上に置いてやる、そんな気持ちにも自然となってくる。

さて、今日は祭りの本番だが雨は大丈夫だろうか。
下駄という訳にはいかないが、今日ばかりは靴を履いて祭りに出掛けてみることにしよう。
件の『だんご屋』の団子も食べてみたいから...。

by finches | 2011-11-06 05:35 | 空間


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