734■■ 湯治の湯
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昨日は昼過ぎから雨の中を温泉に出掛けた。

筆者が毎日通う温泉は200年の歴史を持ち片道4キロの道程だ。
筆者が時々出掛ける温泉は700年の歴史があり片道15キロの道程だ。
そして、筆者が昨日初めて訪れた温泉は1100年の歴史があり片道60キロの道程だった。
後の二つは掛流しの温泉で、名湯として知る人ぞ知る。

三つ目の湯にどうしてこれまで来なかったのか不思議に思った。
訪ねてみたいと思ったきっかけは幾つかある。
二つ目の湯に家人がいたく感激したことで、他にもあると聞いていた掛流しの湯にも連れて行ってやろうと思ったこと、数日前表具屋のおやじに二つ目の湯の話をすると、何だか余裕の笑みを浮かべながら三つ目の湯の話をしてくれたこと、そのおやじの話を聞いて二番目の湯に初めて訪れた時その掛流しの湯への入り方を教示してくれたおやじがその三つ目の湯のことを話してくれたことを思い出したからだ。

三つ目の温泉には40軒近い旅館があるが、宿泊客も町の人もみんな二つある外湯に入る。
それは貴重な温泉を枯らさないためで、その代わり掛流しを守り続けている。
町の真ん中を走る細い通りに沿って旅館が続き、小さな川に架かる橋からは季節になると蛍の群舞が見られるという。
その町はそんな昔のままの風情を残す長閑で心優しいところだった。

東京に住んでいた時も都内は勿論のこと、山梨県や神奈川県の温泉まで出掛けたものだ。
だが、昨日の温泉はこれまで知っているどれとも違っていた。
それは湯質が合うとか掛流しだからとかではないところから感じたものだ。
町の人たちに源泉を守ろうとする共有する意識があって、その絆がかつての日本にはどこにもあったコミュニティを残し、その穏やかさ優しさを外からの者も享受し共有できる温もりを感じたからだ。

まだまだ知らない場所はあるものだ。
それにしてもいい所だった。
小雨はまだ降り続いていたが、なんだかとても温かい気持ちで帰路についた...。

by finches | 2011-11-07 04:41 | 時間


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