749■■ 窓の景色

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何気なく見ている窓からの景色だ。
一昨日、寒々しい錆納戸色と書いたあの同じ海が、昨日は明るい光を放っていた。

同じ海でもこの南の窓と東の窓ではその眺めは微妙に異なる。
東の窓のある壁は、初め書架で全面を塞ぐ計画だったが、そこから見える海の眺めも捨て難く、随分と悩んだ末に書架を置くのを止めた。
お蔭で随分と明るい部屋になった。

以前にはよく行ったその海にもとんと行かなくなった。
長い砂浜が続く遠浅の海では、かつては浅蜊が湧くように取れた。
砂浜が堤防に変わり、それでもまだ海は生きていたし、そこからの眺めも変わらなかった。
だが、小島が消え新たに突堤が造られ、堤防に沿って二重に消波ブロックが並べられた海からは、浅蜊はもとより干潟の生きものたちも消えた。

そんな海でも窓からの景色は当時のままだ。
だから窓からその海を見ていると、あの活気に溢れ生きていた頃の海が目の前に現れる。
普段障子を閉めている窓は障子を開ける度にその色を変えている。
その色を見ながらその海との無数の記憶に遊んでいる、そんな自分にふと気付くことがある...。

by finches | 2011-11-25 05:04 | 無題


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