750■■ 教室の窓からの風景
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随分と年は離れてしまったが、筆者の後輩の絵に目が留まった。
小学校六年生のその絵には、ひょうたんの背景に教室の窓からの風景が描かれていた。

筆者は五年生の時、川が流れ田んぼと山に囲まれた小学校から、海が見えるその小学校に転校して来た。
筆者の五年五組の教室は正面玄関のちょうど上の2階で、東西に六つ並んだ中央の教室だった。
一番南側の校庭に面した白い校舎には2階に五年生、3階に六年生の教室があった。
筆者は六年生になったら海が見える3階に行けることを楽しみにしていた。

その校舎は西の端にトイレ、東の端に階段があり、その間に六つの教室があった。
当時は一学年六学級だった。
筆者の六年一組は階段を上がって最初の教室だった。
そこからは2階とはまるで違う海の見える風景がパノラマのように広がっていた。

今は新しい校舎に建て替わり、昔とは随分変わったなあと思っていたが、この絵を見て六年生が3階という伝統が受け継がれていることに一人微笑んだ。
その絵に描かれた風景からは醤油屋の煉瓦の煙突は消えていたが、安普請の改修で昔の重厚な趣はなくなったが西光寺の黒い屋根や漁港やその向こうに広がる海は、筆者の記憶とぴたりと符合した。

筆者はこの漁港が美しかった頃を知っている。
石積みの船溜まり、西光寺の白い壁と大きな黒い瓦屋根、石垣の上の醤油屋の大きな瓦屋根と煉瓦の煙突、黒瓦の家々、それらは見事に調和し美しい日本の風景をつくり出していた。

時々、それらを見ることのできない今の子供たちはかわいそうだと思うことがあった。
だが、この絵を見て、そこに描こうとした風景に美しさを感じた心に、どんな時代でも、またどんなことからでも、何かを感じ摑む感性と澄んだ心は消えることはないのだと嬉しくなった。

この絵の題は『ひょうたんと教室の窓からの風景』、六年生の女の子の作品だ。
モナリザのあの遠景を背景にした構図を思い出しながら、この絵の構図も中々のものだと感心した...。

by finches | 2011-11-26 03:40 | 時間


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