755■■ 師走
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寒さで空気が澄んでいるせいか、今朝は船の汽笛が二度聞こえた。
寒くなるとうどんの温かさが恋しくなり、よく昼食を取りに出掛けるが、その帰りに時々立ち寄る神社がある。
長い参道に沿って続く時代の異なる様々な形の石灯籠が好きだし、参道左の竹薮や雑木はかつての深い森の記憶を彷彿とさせ、参道右の椎の大木は黒い影を落としている。

小さな本殿右には火を焚く大きな穴が掘られているが、この大穴が一年で一番活躍するのは正月の初詣の時だ。
その大穴には切り倒された木や古木が放り込まれ、一日中その火が絶えることはない。
参詣に訪れた人は帰りに必ずその大穴を囲み冷えた手と体を温める。

師走に入りそのための焚き木の準備が始まっていた。
それらは民家の解体による廃材で、形も大きさも仕口の加工も様々で、その加工の程度を見ていると決して上級ではない元の佇まいが想像された。

この神社を訪れると本殿裏にあった競馬場跡まで行ってみることが多い。
かつて鬱蒼とした林に囲まれてた競馬場跡は今ではグランドに整備され、そのフェンスの向こう側には色とりどりの、決して住みたいとは思わない同じような家々が並んでいる。
その光景を眺めながら、畑も田んぼも林も森も消えていく現実を目に焼き付ける。

来た時も帰る時も参道には誰もいない。
その静寂の中、コゲラだろうか、トントントンと木を叩く音だけが聞こえていた...。

by finches | 2011-12-04 06:48 | 時間


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