781■■ 凧揚げ

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正月2日、元旦夜宴のメンバー八人で掛流しの名湯に出掛けた。
外気温6度、ひがな晴れていたが、何故か移動中だけは決って日より雨に見舞われた。

初めての道も幾つか走り、初めての場所も抜け、初めての料理も食べた。
冬枯れの木立の中、残った柿の実、モチノキやナンテンの赤い実、鮮やかなサザンカの花にホッと息を吐いた。

毎年思うことだが、正月に外で遊ぶ子供をとんと見かけない。
そんなことも流れる景色と重ね合わせながら考えていた。

最後に訪れた島の灯台の下で4人の乗った車と別れた。
そして、白波が寄せては返す砂浜に向かった。

そこでは一組の母子が凧揚げをしていた。
嬉しくなって、「最近凧揚げを見なくなったが、いいですねえ」、と声をかけた。

すると、自分もそう思って子供を連れて来たが、子供は「凧揚げをするのが恥ずかしい」、と言うのだそうだ。
そこで、筆者は思わずその子に向かって、「恥ずかしいことなんかない、すばらしいことだ」、と言った。

恥ずかしかったのか子供は終始無言だったが、美しい景色の中、寒風に舞う凧の糸を引く手の中に、この子はきっと何かをつかんでいると思った。
風の強い場所なのだろう、帰り道、稜線には巨大な風力発電の風車が幾つも見えていた...。

by finches | 2012-01-03 04:16 | 時間


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