792■■ 専用高速道路

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山奥の深い森や富士山の樹海でなくても、里山でも誤って林道から逸れたりすると迷って危険だ。
一歩山に足を踏み入れると例え雑木であろうと外の視界は遮られ、真直ぐ進んでいるつもりでもそうではなかったりして、直ぐに方向を見失ってしまう。
昔登山をしていた時は必ず地図と磁石を持って行ったし、日のあるうちに必ず目的地に着けるよう慎重に計画も立てたものだ。

江戸時代に造られた石畳の道を探している時、誤って別の林道に入ったことがあった。
人家が見えなくなる辺りから道の両側に墓地が続き、それだけでも気味が悪く引き返したくなったが、目指す道を探して更に奥まで入った。
すると一本の細い陸橋が現れ、見下ろすと大型トラックが轟音を立てながら高速で走り去った。
暫く見ていたが上りも下りも時々トラックが走るだけで、その道がある会社の造った自前の専用高速道路であることが分った。

勿論、その道のことは知っていた。
だが、いつもはその下を通り過ぎたり遠目にそれを見るだけで、こんな立派な道であることはその日初めて目にした。
その時は山の中で景色が開けたことにホッとした反面、道が違うのではと少し心細くなっていた精神状態と重なり、森を切り取って這うように延びるその巨大な建造物が何か異質なものに思えてならなかった。

森の中でのその道との遭遇は今でも不思議な余韻を残している。
一つの目的を持って造られ、そこを目的を持った車だけが走る。
そこには国の造る不要な道とは違う、一本の筋を感じる...。

by finches | 2012-01-14 05:30 | 時間


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