794■■ 山城址から見えたもの
b0125465_6294020.jpg


遠い記憶の奥にあった神社を訪れたことで、頭の中に駅名としてだけあった名がかつてその地を治めた豪族の名に由来していることを知った。
その神社の辺りには他に幾つもの寺があって、その場所がその豪族の居館のあった地であることを知った。
初めて訪れた宿場町で、尼僧が造った山越えの石畳の道に興味を持ち、その道を踏査したことで、その道がその神社のある場所に通じていることを知った。

石畳を運ばれた荷はその場所を流れる川の船着場から船に乗せられ海に出た。
その神社の裏参道の傍には古い浄水場があった。
その場所の下流で川は大きく曲がり、そこには別の浄水場があった。
川が大きく曲がった先はあの『旦』のつく場所で、その場所で地上から姿を消すT用水は、その神社のある対岸を通って上流に向かっていることは確かだった。
そして、その場所の両岸は下流の町の上水と工業用水の供給網と深く係わっていた。

その場所の対岸の山頂にはかつてその豪族による山城があった。
その山城は三角形の頂点の位置に三つの前城を持ち、三角形の重心の位置に本城があった。
日曜の午後、その山城址に登った。

期待した最も高い本城からの眺めは鬱蒼とした木々に遮られたが、間違いなくその木々の先には川も海も、そして広大な農地も広がっていることが分った。
写真は前城の一つから下山途中に初めて姿を現した神社のある場所で、石畳への入口も見えている。

それぞれ単独に興味を抱いたそれぞれの場所は初め小さな点に過ぎなかった。
だが、途切れ途切れだったそれらの場所が頭の中と地図の上で繋がり、山城址に登ったことでそれらを含めたもっと広範囲な地勢学的繋がりへの入口にやっと立てたように思う。

山道を含めての1万7千歩だったが、疲れよりも新たに生まれた興味の方が何十倍も勝った。
そして、最後はその山城址へのもう一つの登山口にある、掛流しの温泉で汗を流した...。

by finches | 2012-01-16 04:05 | 時間


<< 795■■ 妖艶な竹林 793■■ 飛行機雲 >>