795■■ 妖艶な竹林
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記憶に残る美しい竹林がある。
それは神戸の灘高校近くでの打ち合わせを終え、阪急御影まで歩いた時に出合った。
記憶ではその竹林を抜けて香雪美術館に立ち寄ったように思う。

山城に登る途中で出合った竹藪を見て、その竹林の記憶が蘇った。
孟宗竹の群生は竹薮というには余りにも美しく、妖艶な竹林こそが相応しい言い方だと思った。
その竹は一本一本が瑞々しく色も濃く、まるで竹林全体が微かな光を放っているようにさえ感じられた。
それは、御影の竹林で思った、かぐや姫が出て来ても不思議ではない、正にあの時と同じ不思議でそこだけ異質な空間が奥へと続いていた。

手入れをするには余りに急峻な斜面で、人の手が入っているとは思えなかったが、立ち枯れもなく、まるで一夜にして伸びたような揃っての初々しさがあった。
山道には竹の落ち葉が厚く積もっていた。
広葉樹の落葉は踏むと割れるような感触があるが、竹の落葉は踏むとクッションのように優しく沈み実に気持ちがいい。

同じ竹藪でも暗く薄気味悪いものもある。
そして、人気のない山道を一人歩くことには不安がないでもない。
だが、それらに勝る未知の出合への期待、それがあるからやめられない...。

by finches | 2012-01-17 05:49 | 空間


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